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元ご神木と大工道具

今日は、歴史もありロング ブログになりますが、そもそも木の造形の修行をしてきた「大工」としての佐藤も、久々にお届けします。
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神奈川県 伊勢原市にある、国の登録 有形文化財に指定された「 高部屋神社」の元ご神木の一部を、分けていただくことが出来ました。

元ご神木の「欅(けやき)」は、樹齢約300年だそうです。

道路沿いにあり、根っこががっしりたこ足のように太く伸びた、大変な巨木で、以前この木に寄りかかって自然を感じながら一休みしたことが何度かある、思い出深い巨木でした。

中が空洞化して、一度目のお役目を終えて倒されたのが、昨年だそうです。

この春、約3年ぶりに佐藤が神社を訪れたときに、神社の片隅に横たえてあった欅に気が付いて、帰り際にちょうどいらした神社の方に、「ぜひ一部譲っていただくことは出来るでしょうか・・・」とお願いしておりました。

そして、神社の相談役をされている方や、氏子代表の方など、日頃から神社のために尽力されている方々のご厚意によって実現しました。

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これは、樹の上部にあったコブの部分です。大きいですねえ―!約300キロあります!その他に、もうひとつ、同様の大きさのものをひとつ、いただいて参りました。

ナチュラルな庭師・庭匠万草の高橋洋平さんが、一緒に運んでくれたお蔭さまで、無事アトリエに到着。流石プロです!

さっそく写真のコブ部分は、実用的なものに形を変えて奉納させていただくために、創作に取りかかりました。
さて、そこで幻!ともいえる大工道具の登場です。

樹の上、奥が「鉞(まさかり) 」、手前のカーブした木の枝の取っ手が付いているのが「釿(ちょうな) 」です。
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この「まさかり&ちょうな」は、なんと佐藤が木造建築の工務店で、「5年の修行を終えた証し」として、当時住み込んで修行していた工務店の棟梁から、新品をいただいたものだそうです。

当時、一緒に弟子入りした兄弟(というらしいです)達も終了時に全員、いただいたそうですよ。

本格的な工務店で修行したのなら、その当時工務店のしきたりとして、古典的な大工道具の授与があった、とも佐藤は話していました。

とは言っても、その約35年前ですら既にまさかりも、ちょうなもほとんど使われることはなく、その後も新品のままずっと大切に保管していました。

それでも弟子の頃は、伝統大工の基本として、電動道具を使用せず、まさかりやちょうなを使う練習をしていた(させられた?)とのこと。

今回、親方からいただいた両品を、「まさか、ご神木を切るために、今回初めて使うことになるとは!!」と本人も驚いているようです。

まさかりは、丸太を「梁」や「柱」に荒彫りして輪郭を整えるのに使い、「ちょうな」は、それを仕上げたり「梁の上刃を平らにする」などに古来から使ったそうです。

関心がおありの方は、竹中工務店さんのHPの大工道具考→「様々な大工道具」のページに古来からの歴史が詳しく絵とともにあります。

古来からの大工道具を使って、木を社寺仏閣や家屋に美しく仕上げる大工の技、について考えた今回の出来事でした。


さて、何ができるのでしょう?佐藤の中ではイメージがしっかり降りてきたのだそうですよ。次回、また続きをお知らせします!


by kinosumaisha | 2016-05-10 15:16 | 高部屋神社